人気グループ「嵐」で活躍するタレントでありながら、「役者」としての二宮和也(27)の評価は高い。等身大の自然な演技は、蜷川幸雄(74)や倉本聰(そう)(75)、さらにはクリント・イーストウッド(80)までも魅了した。1日公開の映画「大奥」(金子文紀監督)では、初の時代劇に挑戦。男女が逆転した大奥に仕え、出世していく男を演じ切った。
テレビのバラエティー番組では元気なツッコミ役だが、普段は言葉を一つ一つ選びながら話すまじめな青年だった。二宮は「僕は使い勝手がいい人間でいたいんです」と語る。
「演技上の武器を持っているわけではないので、格好悪い役でも最初から演じないんじゃなく、やってみて判断すべきだと思う。『硫黄島からの手紙』もやってみてよかったなと思います」
イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」(2006年)の陸軍1等兵役で国際的に認められた二宮。だが、既に蜷川の映画「青の炎」(平成15年)や舞台「シブヤから遠く離れて」(16年)、倉本が脚本を書いた連続ドラマ「優しい時間」(17年)、「拝啓、父上様」(19年)=ともにフジテレビ系=などで演技力はお墨付きだった。
「単純に、ついてるな、と思います。蜷川さんや倉本さんのような世代の人たちの物づくりの過程が見られてとっても貴重でした」
「大奥」は、よしながふみの人気コミックの映画化。舞台は謎の疾病で男性が激減し、男女の役割が逆転した江戸で、女将軍、徳川吉宗(柴咲コウ)に3千人の美男子が仕える大奥を描いた異色作。二宮は貧乏旗本で大奥に奉公へ上がる主人公・水野祐之進(ゆうのしん)を演じた。
初めてのカツラに「快適でしたね。ヅラのまま寝ていたぐらい」と笑う。ジャニーズJr.時代にNHK大河ドラマのオーディションに落ちた経験から「僕の中では時代劇という分野の選択肢がなかったので、この役はうれしかった」と語る。中村蒼(あおい)(19)とのキスシーンもあるが、「舞台でも60回ぐらい(男性と)したことがあるので、今さら男の人とチューしても気にならない」とあっさり。
そんな彼について金子監督は「現場に来ると役になり切ってしまう。初日から肩の下がり具合から役に入っていて、すごいなと感心した」と舌を巻く。
今後も、ドラマ「フリーター、家を買う。」(19日スタート、フジテレビ系)の主演のほか、映画「GANTZ(ガンツ)」(2部作で来年公開予定)では異形の「星人」と戦う主人公を演じる。
「しばらくすると宇宙人と戦っているなんて、なんか不思議。本当に貴重な経験をさせてもらっているな、とつくづく思います」(伊藤徳裕)
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/101001/tnr1010010734002-n2.htm
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